「やめようと思えば、やめられるはず」
「自制心がないだけでは?」
ギャンブル依存症に対して、
世の中には今もこうした見方が根強くあります。
しかし医学的には、
ギャンブル依存症はすでに
**“精神疾患の一つ”**として位置づけられています。
ギャンブル依存症の医学的定義
ギャンブル依存症は、
正式には**「ギャンブル障害(Gambling Disorder)」**と呼ばれます。
WHO(世界保健機関)や
DSM(精神疾患の診断基準)でも、
明確に定義された疾患です。
特徴は以下の通りです。
- やめたいのに、やめられない
- 負けを取り戻そうとして繰り返す
- 日常生活や人間関係に支障が出る
- 結果より「賭ける行為」そのものに支配される
これは嗜好や趣味の問題ではありません。
なぜギャンブルは「やめられなくなる」のか
医学的に見ると、
ギャンブル依存症の核心は脳内報酬系にあります。
ギャンブルで得られる
- 興奮
- 期待
- 勝つかもしれないという予測
これらが、
脳内でドーパミンを大量に分泌させます。
重要なのは、
「勝ったとき」ではなく
**「賭けている最中」**に
最も強く反応が起きる点です。
依存が進行すると脳はどう変わるのか
ギャンブルを繰り返すことで、
脳は徐々に変化していきます。
- 刺激に慣れてしまう(耐性)
- 普通の喜びに反応しにくくなる
- 衝動を抑える前頭前野の働きが弱まる
結果として、
「やめたほうがいい」と分かっていても
行動を止められなくなります。
これは、
意志の問題ではなく
脳機能の変化です。
ギャンブル依存症と感情の関係
多くの人が誤解していますが、
ギャンブル依存症は
「楽しいから続く」わけではありません。
むしろ後期になるほど、
- 不安
- 焦燥
- 空虚感
- 自己嫌悪
これらの感情から逃れるために
ギャンブルをします。
つまり、
快楽のためではなく、苦痛を和らげるための行動に
変わっていくのです。
なりやすい人の医学的・心理的特徴
ギャンブル依存症は、
誰にでも起こり得ますが、
以下の傾向がリスクを高めます。
- 強いストレス状態が続いている
- うつや不安障害の既往
- 衝動性が高い
- 自己肯定感が低い
- 孤立している
重要なのは、
「弱い人がなる病気」ではないという点です。
治療と回復は可能なのか
結論から言えば、
回復は可能です。
主な治療・支援は以下です。
- 精神科・心療内科での診断
- 認知行動療法
- 自助グループ(GAなど)
- 家族支援
治療の目的は、
「一生我慢する」ことではありません。
脳と感情の回復です。
理解が回復を早める
ギャンブル依存症を
意志の問題として扱うと、
本人はさらに追い込まれます。
- 恥
- 罪悪感
- 孤立
これらが、
依存を悪化させるからです。
医学的に理解することは、
甘やかすことではありません。
適切に助けるための前提条件です。
まとめ
ギャンブル依存症は、
性格の問題でも、
だらしなさでもありません。
それは、
脳と感情のバランスが崩れた状態です。
理解され、
適切な支援につながったとき、
人は回復の道を歩むことができます。
まず必要なのは、
責めることではなく、
正しく知ることです。

